消された家族

 わたしの叔父は、「いないこと」になっていた。
 はっきり病名が分からないのだが、ずっと病院に入院していた。
 家庭の事情があったのだと思う。他の叔父貴はだいたい独立していたし、結局のところ面倒を見る事のできる人間がいなかった。
 一度か二度、わたしが小学生くらいの時に会ったことがある。ニコニコ笑って座っているのだけど、やっぱりどこか変なのが子供心にもわかった。今思えば、精神遅滞の類ではなかったかと思う。
 亡くなった、という一報があって、病院に後始末に親が行った時、なぜかわたしも一緒だった。どうしてそんなことになったのかは、わからない。
 青梅の物凄い山の中だった。車一台すれ違えないほどの山道を上がると、病院があった。
 そういうシチュエーションとなると精神科病院なのだが、事後処理の間、待合室で待たされたのだが、怖い気が全然しなかった。老人ばかりだったからかもしれない。そういうわけで、他科の病院かなとも思うんである。

 葬式は参列しなかった。親の代までで、そこから後、つまりわたし等は焼香もしていない。
 遺影が、僅かに残る写真にスーツを合成させたもので、そういうことが世の中にあるのかと驚いた記憶がある。
 多分、親達には、自分の代限りで、叔父貴の存在は消す、そういう思いがあったのだと思う。
 だから、倅のわたしも詳しいことは何も知らない。聞けば教えてくれるだろうけど、やはり「空気」がはばかるのだ。
 だから墓碑を見た次次代が「この人誰?」と言ってもわたしは詳しく説明できない。元々親戚付き合いが希薄なので、余計語る事が無い。

 何かであったが、人は二度死ぬという。
 一度目はいわゆる死。
 二度目は、誰からも思い出されなくなった時だという。

 こんな風に人が一人、消される。
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